バイリンガル&トリリンガル教育あれこれ 〜語学苦手ママの体験記〜

英語苦手ママが、バイリンガル&トリリンガル子育て体験をシェアします!

東洋の言語と西洋の言語のバイリンガルになる意味

バイリンガルといっても、何と何のバイリンガルかによって、その奥深さは違ってくると私は思うのです。

英語とフランス語などの西洋同士の言語や、日本語と韓国語などの東洋同士の言語は、ある程度同じ思想がバックグラウンドにあるかと思います。
 
しかし、英語と日本語は、西洋の言語と東洋の言語という組み合わせ。息子を見る限り、その二つのバイリンガルになると、バクっとですが、西洋文化と東洋文化を並行的に体感できる様です。
 
息子は2ヶ月間だけ日本の公立小学校に通いましたが、入学式には私も参列して、学校や文部省の指針につて、校長先生のお話を拝聴しました。
 
その後カナダの公立小学校に入学しましたが、学校の教育方針は日本のそれとは全く違うものでした。
 
何よりも「和」を大切にする日本の道徳観。「個」を大切にするカナダの道徳観。
どちらも大切なものだし、強いて言うならば、そのバランスがとても大切なのだと、私は思うのです。
 
日本語と英語のバイリンガルになると、「和」という概念と「個」という概念を同時に持つことができます。
 
日本語と英語のバイリンガルには、そんな深い意味が隠されている様な気がしています。
 

プリンスエドワード島で日本語を学ぶ

先月末、夏休みの家族旅行に、プリンスエドワード島  に行ってきました。

モントリオールからは飛行機で1時間半なので、気軽な小旅行先です。
 
プリンスエドワード島は、日本人に人気なので、現地には沢山の日本語ツアーがあります。そして、私達も今回、『赤毛のアン』ゆかりの地を回る一日ツアーに家族で参加しました。
ガイドさんも日本人、お客様も日本人。年齢層もやや高めなので、お話するときは丁寧語や敬語を使うし、これって、息子の日本語の勉強にすごくいい!ということに、後から気がつきました。
 
よく、海外旅行に行ったら、日本語のツアーなんかに参加せず、現地の人と交流しましょう、なんて言われますが、私達は逆に、夏休みに日本からいらっしゃる観光客の方と交わることで、息子の日本語環境を作れることを発見したのです!
 
息子も気に入ったみたいだし、来年の夏休みもまたプリンスエドワード島かな。

 

現地校の夏休みの宿題は深い!

8月も最終日。息子の現地校は、9月4日に新しい学年がスタートです。

夏休みは宿題が全く出ないケースも多いのですが、今年は少しだけ宿題が出ました。
 
日本だと、読書感想文が定番ですが、息子の英語の宿題は、読書感想文の様で、全く似て非なるものです。
 
まず、自分が共感できる文章を探します。長さは関係ありません。本でも、詩でも、新聞や雑誌の記事でも、何でもいいのです。
そして、なぜ、自分が共感するのか、どの部分にどの様に共感するのか、などなどを詳しく書いていきます。
 
共感といっても、先生は empathy ではなく、represent a part of YOU という表現を使っていましたので、「君という人間の一面を 代弁してくれている文章」といった、かなりディープなニュアンスです。
この様に、西洋では、自分とは何者かということを考えさせる教育に力を入れているのが、よくわかります。
他の人達との調和に重点をおく日本の教育との対比が興味深いと、いつも思っています。

海外で漢字力をキープするには

 8月も終わりに近づき、息子は、今日から日本語補習校が始まりました。

なんとか、宿題も間に合ったようです。
 
2学期初日の今日は、予告通り50問漢字テストが行われました。
息子は、今回も100点をとれたようで、ホットしました。
出題される漢字は夏休み前に教えられるのですが、五年生の漢字ともなると、モントリオールで暮らす子供達は苦戦を強いられます。
一度覚えても、日本のように繰り返し目にするチャンスがないので、すぐに忘れてしまうのです。日本語を話せても漢字は挫折したまま書けないという日本人やハーフ日本人の方は、沢山います。
 
息子がモントリオールにいながら、漢字を覚えるのにそれほど苦労しないのには、二つ理由があります。
一つ目は、私が、ほぼ毎日、5問ずつテストをしていること。たった5問なので、親子共々そんなに大変ではありません。間違えた漢字は、5回ずつ書き、また翌日にテストします。
長続きするコツとしては、間違えても怒らず、合ってる漢字には、大袈裟にマルをして褒め称えることです(笑)
二つ目は、やっぱり読書。海外にいると、覚えた漢字を使うチャンスが他にないのです。
 
そう思うと、幼少の頃からの読書習慣は、本当に大切だと思います。
そして、母国語で読解力を身につけると、英語やその他の言語でも、その能力を発揮できるから不思議です。

母国語をなめてはいけない!

日本にいた時、息子がインターの幼稚園に通っていたため、同じようにバイリンガル教育思考が強いお母様方とお話しする機会が沢山ありました。

 

あるインター小学校の説明会で隣になった方と話してみると、、、

私 :「インター小学校に入れると、日本語が心配ですよね?漢字とかも、、、」

その方:「いや、別に。今はどうせパソコンだし、漢字はある程度読めればいいんじゃないですか?」

私:「え?!」

 

息子さんの小学校を日本語の学校にするかインターにするか悩んでいたあるママ友は、、、

彼女:「インターに入れると国語が心配。問題は、漢字と敬語ね。漢字は、漢検を受けさせて、家ではぜった敬語ってことにしようかな」

私:「ある日突然、家で敬語を強制なんて、可哀想だよ。家は、リラックスする場所だ

よ。。。っていうか、国語って、漢字と敬語を補強すればいいってもの?」

 

バイリンガルになる事は、本当に素晴らしいことだと思います。そのためにも、母国語をなめてはいけない!と私は思うのです。

母国語の大切さや日本語の奥深さを子供にしっかり伝えていくことは、バイリンガル教育を選んだ親の義務だと、私は思うのです。

なぜ、バイリンガル教育?

あなたが、子供にバイリンガル教育をしたい動機は、何ですか?

私の場合は、30代半ばに、仕事で英語を使う機会があり、英会話教室に通い始めたけど、時遅し。
あー、もっと若い頃から、生きた英語を勉強していれば、お客様と気軽にコミュニケーションが取れるのに、、、それに、あんな多くの時間を 退屈な試験勉強に費やさずに済んだだろうに、、、息子には同じ事を繰り返して欲しくないなぁ、、、と思ったのが動機です。

その他、大学受験で苦労しないとか、就職に有利だとか、色々あるでしょう。

バイリンガル教育を10年間してみて、今気付いたことは、実は、バイリンガル教育にはもっともっと有益なことがあるということです。

細かい利点を挙げると、切りがないので、今は、大きな二つの点をご紹介します。
 
*日本語と英語を同時に勉強すると、相乗効果が生まれるのです!
日本語の知らない言葉や表現に出会った時、その日本語は知らなくても、先に英語で習っていることもしばしば。
これは、特に抽象的な言葉を学ぶ際に、役立ちます。
「〇〇って、どう言う意味?」と聞かれて、「英語で言ったら、△△って感じかな。」と教えてあげると、すぐに理解してくれます。
勿論、逆もありです。
 
他の学科についても、西洋のアプローチの仕方が、日本のそれと、全然違うことは、ご存知ですか?「割り算」ひとつとっても、教え方が、まるで違うのです。
言語によって、思考回路が異なるそうですが、同じ課題を 異なる思考回路で二度考えることで、どうやら子供の理解力が、深まっているようです。

*英語が話せると、イングリッシュスピーカーだけでなく、その他の言語を母国語にしている友達や知り合いもできて、様々な文化に触れるチャンスがあります。
何の偏見も持たない子供のうちから、マルチカルチャーを体験する素晴らしさは、言葉では表現できません。
そして、その体験は、「オープンマインド」へと繋がります。
オープンマインドという言葉をは、こちらでは、と褒め言葉として頻繁に使われます。
「他人に寛大である」ということですね。
自分と違う人に出会ったとき、「対等な違う人」同士として仲良くなるのではなく、「変な人」と思って排除してしまうのは、悲しいですものね。

 

「セミリンガル」が、怖かった。

バイリンガル教育をする中で、日本にいた時も、カナダ移住を決める時も、一番怖かったのが、息子が「セミリンガル」になること。

当時は、セミリンガルなんていう言葉を知らなかったけれど、よく、日本人以外の方から、両方の言語が中途半端になる怖さを聞かされていました。
「英語も日本語も70%になるのなら、日本語100%で英語が30%の方が、ずっと本人のため。アメリカにいた時、そんな日本人が沢山いて、みんな就職に困ってたよ。」と。

モノリンガルな私は、母国語が不完全になるという感覚が、未だによく分からないのですが、改めて、母国語の大切さを考える様になりました。
 
そんな時、英会話教室で出会った先生は、母国語がスペイン語のバイリンガル。
彼女は、お父様の仕事の関係で、小さい頃から英語圏で暮らしていたけれど、お母様は彼女に対し、スペイン語しか使わなかったそうです。うっかり英語で話しかけてしまうと、通じないフリをされるんですって!
一方で、彼女の従姉妹は、似た様な状況の中、家庭で英語とスペイン語を混ぜて使っていたそうです。その結果、その従姉妹さんは、スペイン語も英語も中途半端になってしまったのだとか。
 
そんな訳で、私は学者じゃないけど、「母国語が大切だ」ということは、直感で納得できたので、「自宅では日本語。息子には、絶対に日本語。」をカナダに住んでいる今も貫いています。
 
もちろん、日本人以外のお客様がいらした時は、例外ですよ。
時々、息子の英語が聞き取れなくて、「今、何て言ったの?」と小声で教えてもらっています、、、トホホ。